第一回女性技術者座談会を実施しました!
建設業界において担い手不足は喫緊の課題となっています。
そんな中、女性の活躍は大いに期待されているのですが、他業界と比べても遅れをとっていると言わざるを得ません。
そこで私たち浜松建設業協会は、女性活躍推進を打ち出していく前段階として会社の枠を越えた女性技術者同士の懇親の場を設け、女性が建設業で働く上での課題や改善点の把握を試みることにしました。
今回は、2021年4月20日、赤堀産業(株)が運営するボタニカルスタジオHITOTOKIにて開催した第一回女性技術者座談会の様子をお届けします!
「できる限り長く建設業に携わりたい。」
「男性と対等に、個人個人の得意不得意や適正などを見てほしい。」
女性技術者の皆さんの言葉には多くの気づきがありました。
それではどうぞ!
(この記事は約3分で読めます。)
参加者プロフィール
初回である今回は25歳以下の女性技術者6名をお招きし、ファシリテーターにはママさん技術者として今も活躍されている中村土建(株) 射場さんにお願いしました!
中村土建(株) 射場さん
座談会ファシリテーター、建築設備施工管理
目次
座談会レポート
建設業にどんなイメージを持っていましたか?
小さい頃の父との記憶がプラスのイメージで残っています。就職時は周りから「大変だよ?」と少しマイナスなことは言われました。
(主催者の予想に反し)全員がプラスのイメージを持っていたという回答でした。半数の方が、家族・親戚に建設業関係者がいらっしゃるようなので身近に建設業があったのも大きいかもしれないですね。
建設業に入職すると決まった際、周りはどんな反応でしたか?
あまり否定的なことは言われなかったです。
「良い仕事を選んだね。」と言ってもらえました。”将来なくならない仕事”、”給料が良い”という意見もありました。
「やりたい仕事ならやりなさい。」と言ってくれました。
なるほど、あまり反対意見などなかったんですね!
では、就職前に抱いていた不安や入社後のギャップなどありましたか?
入る前はやはり力仕事が多いイメージをもっていました。
ただ、入社後に体力勝負感はあまり感じていません。力仕事は職人さんが助けてくれます。
夏熱い中での測量は大変です…
”力仕事は職人さんが助けてくれる”という意見が複数ありました。基本的にギャップも感じていないようです。
では、”建設業のやりがい”って何でしょう?どんなときに感じますか?
何もないところからモノができる楽しみがあると思います。
配属された学校の改修工事で校長先生から直接「ありがとう」と言って頂けたときです。
設計書にかかれたモノが実際できるのを見た時です。
担当したマンションが施工中に即完売になり、自分の仕事が必要とされてると感じたときです。
着手前・完成写真のBefore/Afterを見比べるのは楽しいです。
皆さん良い経験をされてますね。
まだまだ各社、女性技術者は少ない状況ですが、女性同士で相談したいことや困ったことはありませんか?
もともと男の人しかしない職業だと思っていたので女性がいないことへの不安・驚きは特にないですね(笑)
私は事前知識なく入ったので、もっと女性がいるものだと思っていました。
私が入った当時、会社として女性技術者を採用した前例がなく、今後のキャリアプランが不安でした。
須山建設さんは女性技術者が複数人いらっしゃると思いますが、女性技術者が会社内にいてよかったことはありますか?
女性の先輩社員ができているなら私にもできるかも!と指針になってくれることはありたがいです。
なるほど、確かにそうですね。
では、働いている環境についての質問に話題を変えてみたいと思います。
「3K」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、建設業においてはいかがでしょうか?
「汚い」は感じます。ただ、色々と工夫はされ始めていると思います。
現場で一番若手なので簡易トイレの掃除は気が引けます。あと夏場は特にきついです。
長靴で川の中へ入ったりするので現場では普通に汚れます。
でも、作業後ちょっと汚れているくらいなら着替えたりせずそのまま帰宅しちゃいますね。
トイレの問題はよく話にあがりますよね。
実際、こんなトイレなら使いたいな、というご意見ありますか?
快適トイレなどで洋式も増えてきていますが誰が座ったか分からない便座は嫌です…
その点、和式だと直接は触れないし、掃除もしやすい面はあります。
男性トイレを少し小さくするなどして費用は抑えつつ、小さくてもいいから男女別にしてほしいです。
自分だけのためにお施主さんのお金を使ってトイレを用意してもらうのは気が引けます。
男子トイレは無理ですね。ニオイもきついし、虫もいる。なんであそこまで汚れるのか不思議です…
やむを得ず息止めて入ることはあります。
ありがとうございました!
では、この辺で少し休憩しましょう!ケーキをご用意しています!
さぁ、第二部に入っていきましょう!
トイレ問題は深刻だということがよくわかりました。
残業とか、お休みについてはどうですか?
学校の改修工事の際は、平日夕方や土日指定の工事があり、代休を平日に取得することも多く、他業種に勤める友達と休みが合わなかったです。
工事中は繁閑の差がどうしてもありますね。工事が忙しいときは早くは帰れません。
現場配属と内勤とで差が出ていると思います。
すこし踏み込んだ質問ですが、建設業はブラック? or ホワイト?
ホワイトなときもあるし、ブラックなときもありグレー。皆さんの意見にもありましたが、配属される現場や内勤かでも差がでますので完全なホワイトは無理な気がします。
だんだんとまとめに入っていきたいと思います!
私は結婚、出産を経て、子育て中の正社員での仕事はムズカシイと感じていました。なので、子供たちの手がかからないようになってからこの業界に復帰しています。
皆さんは結婚・出産などライフステージが変わったときに建設業で働き続けたいですか?
現場作業は無理かなと思います。
ライフステージに合わせて事務などの内勤業務に変えながら続けていきたいです。
結婚したら監督は厳しいかも。内勤の方が続けやすい感じがします。
在宅・リモートワークができると良いですね。対応できる仕事の幅も広がる気がします。
6人中5人は建設業を希望されており、できる限り長く建設業に携わっていたいという声が大半でした。これには本当に驚きました。
ライフステージが変化しても建設業を長く続けていくにはどうなればいいと思いますか?
家事と仕事が両立できる業務を用意してほしいです。(監督から事務への配置換えなど)
男女という性別での括りではなく、同じ一人の人間としてそれぞれの得意・不得意をみてもらいながら仕事できるといいと思います。
「女性だから細かい気遣いできるでしょ?」と言われても苦手の人もいます。
男女での区別はやめてほしいです。
まとめ
今回集まってくれた女性技術者は元々建設業に興味があった方が多く、建設業に対する一定の理解(一部妥協している部分も)をお持ちの印象でした。今後も長く建設業を続けていきたいという声が大半で、ライフステージの変化に合わせて家庭と両立可能な業務を用意することは、女性の入職率を上げる上で非常に有効であることがわかります。
「女性だから」という特別視はあまりのぞんでおらず、男性と対等に、個人個人の得意不得意や適正などを見てほしいという意見がとても印象的でした。
また一つの特徴として、子供の頃の記憶がプラスのイメージに働いているようなので、これまで企画委員会が行ってきた親子現場見学会・重機体験会などをさらに良いコンテンツに強化し、できる限り小さいうちから建設業を身近にしていくことは効果がありそうです。
WinCでは、女性技術者の皆さんからのご意見を募集しています。日頃のお困りごとや業界として改善してほしいことなどなんでも構いませんので、お気軽にお問合せください。