第二回女性技術者座談会を実施しました!
昨年(2021年4月)若手技術者を対象に開催した”第1回女性技術者座談会”から1年、今年はもう少し長くこの業界を見てきた女性技術者の皆さんをお迎えして第二回座談会を開催させて頂きました。
第一回開催時、若手技術者の方々より頂いた「できる限り長く建設業に携わりたい。」という想いを尊重するため、その実現のヒントを探ります。
それでは、2022年5月17日、浜松建設業協会にて開催した第2回女性技術者座談会の様子をご覧ください!
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参加者プロフィール
今回は、幅広い年齢層の女性技術者5名をお招きし、ファシリテーターには第一回に引き続きママさん技術者として活躍されている中村土建(株) 射場さんにお願いしました!
中村建設(株)
彦坂さん
(6年目)
建築施工管理
(株)鈴木組
辻村さん
(10年目)
建築施工管理
(株)飯田組
杉田さん
(27年目)
土木施工管理
(株)常盤工業
冨田さん
(7年目)
設計
目次
座談会レポート
まずは建設業に入ったキッカケを教えてください。
大学で建築を学んでいました。町に木造の遊具ができた際、使用者の喜ぶ顔を見て興味を持ちました。
建設コンサル会社の事務に就職した後、自分でも現場をやってみたくなり土木の現場監督をしています。結婚を機に、専業主婦を4年経験しましたが、中途半端に終わってしまったのが心残りで一番下の子が4ヶ月の時に飯田組に復帰しました。
昔から建築系の職に就きたいと思っていました。小さい頃、住みながら隣で家を建て替えていたので現場のイメージもありました。大学では土木を学び、住宅会社に就職後、もっと幅を広げたい想いで須山建設に入りました。
自分の家を女性が設計したと聞いて”かっこいい”と思ったのがキッカケです。学生時代に、測量の授業で現場の楽しさを感じ、現場で働くことを考えるようになりました。
住宅会社に就職後、一度この業界から離れ、やりがいを求めて再び建設業に戻ってきました。現在は常盤工業で住宅の設計・不動産業務を経て、建築設計を担当しています。
入社前・入社後で建設業に対するイメージギャップはありましたか?
大学で土木を学んでいたこともあり、入職前から覚悟はありました。
私も大学で建築を学んでいて、設計の講義では夜な夜な模型を作ったりとその頃から拘束時間が長い印象はありました。
なんとなく「キツイ・キタナイ・キケン」のイメージがありました。いざ入ってみると”意外に書類が多く”、同じ現場の仲間と朝まで書類に追われた経験もあります。。
遅くまで仕事するとは聞いていたので、ギャップはなかったです。
現場が片付いていて、聞いていたほど汚くないですし、職人さんも優しいです。確かにキツイこともありますが、それを越える楽しさがあります!
建設業に入職すると決まった際、周りはどんな反応でしたか?
両親も最初は心配していました。一度はこの業界を離れましたが、友人の話から建設業への想いが募って復帰し、家族も友人も今は応援してくれています。
学校の先輩から施工管理は”設計、職人、住民からの板挟みになるから”やめた方が良いという話はありました。
周りに建設業について知っている人もいなかったので反対はなかったです。親から「何やるの?」と聞かれたくらいで。娘は、台風の時など養生をしに出掛けた私の姿を見て、「絶対ヤダ」と言っていました(笑)
周囲から言われることはなかったです。ただ住宅営業をやっていた時はノルマがあり、土日も仕事で同級生から心配されました。ただ営業を越えないとやりたかった設計の職につけなかったので頑張れました。
両親からはなかったです。ずっと”実家を自分の設計で建て直したい”という夢があったので後押しがありました。
ありがとうございます。そんな皆さんから見た、建設業のやりがいや達成感をお聞かせ頂けますか?
足場をバラした瞬間です。更地に何をつくっていたか初めて認識できるので。お施主さんからの見方が変わった時にもやりがいや達成感を感じます。
造成工事や道路工事など家族に自慢できることです。娘も「”カッコいい”とは、思う」と言ってくれたりします。
夜、電気が点いている瞬間を見ると、「本当に使っているんだな」と実感し、やりがいを感じます。あとは、営業時代にお客様から「6割営業で決めた」というお言葉を頂けた時です。
提案した仕様(内装)をお客様に採用して頂いたときに感じます。現在、建築設計に携わっており、今後施工予定なので仕様提案や打ち合わせ等も楽しみです。
やはり竣工した時に一番感じます。
これまで多くの経験されてきた中で感じた、建設業の良いところ、悪いところを伺ってもいいでしょうか?
甥っ子や姪っ子は「カッコいい」と興味がありそうです。良いイメージを小さい頃から見せていきたいですね。働き方改革もあり、今後、就労環境はどんどん良くなっていくと期待しています。
毎日同じ仕事(ルーティーンワーク)をしなくて良いところです。飽きがこず、毎日変化があります。あとはプレスに掲載されたりと社会貢献度が大きいところは良いです。
悪いところは、どんどん法改正で書類や手続きが増えており、手間や仕事量が増えている感じがします。
やりがいが大きいところです。
やりがいを感じますし、就業環境も改善傾向にあると思います。お施主さんや職人さんと飲みにいくなどたくさんの人と関われるのは面白いです。
ただ、非常に覚えることは多いです。インターネットやSNSの普及により、お施主さんもどんどん詳しくなっているので大変です。
周りは早く帰っているのに自分が残業で遅くなる時は嫌です。周りの友達とも時間が合わなかったりします。施工管理の仕事を知らない人に仕事の説明するのが難しいです。(説明もしてこなかった)
ここからは少しプライベートのお話もお伺いできればと思います。
ライフステージの変化にはどのように対応されましたか?
付き合っている頃から家事を相手に仕込んでいました。(夫も建設業です。)なので仕事をセーブすることはなかったです。
今のままの働き方だとライフステージが変化した時に続けられるか正直わかりません。
周りの理解が重要だと思います。相手次第かなと。
実際、事務職には9-16時のフレックス勤務の方もいます。育休を取得しているのも事務職員です。今後結婚する後輩は、建築は好きだけど、建設を続けるのは嫌と言ったことも話していました。
今、お話に出た時短勤務や育休の例は各社いかがでしょうか?
技術職の女性では前例がないと思います。
私が体調を崩した時に、会社が週休3日の柔軟な対応をしてくれました。現在愛知住まいなのでリモートワークもしています。
育休等で現場を離れた際に、現場監督に戻っておいでよとはなかなか言いづらい気がします。
営業や広報では男性の育休取得例もあります。当社の場合、このような取り組みを促すべく、様々な法への対応が進んでいます。
なるほど、職種間での差がまだまだありますね。
最後に、今後の仕事の目標と働き方について教えてください。
設計と施工の両立をしていきたいです!
在宅ワークなど様々な働き方が許容される風土になると良いと思います。
体調面、健康面の心配はあります。
自分の時間を増やせる働き方をしたいです。自分だけではなく、周りも一緒に良くなっていかないといけないとは思います。工期をもっと長くしてくれれば少し余裕ができると思います。
設計業務を一人前にできるようになることと、同時に仕事に早く慣れてスピードアップし、自分の時間を作りたいです。
まとめ
今回は中堅からベテランの先輩女性技術者にご参加頂きました。お話をお聞きする中で、建設業を長く続けていくポイントはやはり幼少時代の思い出からくるキッカケや夢、そして家族や周りの方々のサポートが非常に大きいことがわかります。これは、私たち建設業に携わる一人一人の日々の”仕事ぶり”が着実に未来の担い手につながるとも考えられます。
ぜひ、この記事を読んで頂いた皆様は、いつもよりも少し現場を片付けてみたり、言葉遣いを気をつけてみたり、近隣の方々に挨拶をしてみたり、小さいことからで構いません!現場周辺での行動を変えてみてください。子供たちに「カッコいい」と思ってもらえるような立ち振る舞いを一緒に心がけていきましょう!
浜松建設業協会では、子供達とその親御様に現在の建設業を知っていただける機会を今後も企画してまいります。2022年10月には久しぶりに親子現場見学会も復活予定です!ぜひご期待ください♪
WinC(ウインク)では、女性技術者の皆さんからのご意見を募集しています。日頃のお困りごとや業界として改善してほしいことなどなんでも構いませんので、お気軽にお問合せください。
また、今回の座談会では「男性技術者から見た女性技術者への意見も聞いてみたい」といった声がありました。こちらについても今後WinCの活動の中で意見を伺っていきたいと思っています。今後ともよろしくお願い致します。